弊社の本格的な防災部門が確立したのは、2004年7月に起こった「平成16年7月新潟・福島豪雨」が契機です。新潟県中越地方は集中豪雨に見舞われ、15名が亡くなる甚大な被害が発生しました。その翌年の水防法改正等を踏まえて2007年に燕市様から受託し、ハザードマップを作成。降雨量や気温の上昇など、地球温暖化の影響で近年多発する豪雨災害に対応するため、2018年には災害関連情報を反映してブラッシュアップしました。
この他にも自治体を中心に洪水、土砂災害、津波、地震、液状化、ため池など様々な災害に対するハザードマップを手掛け、これまでに150を超える案件に対応した実績(2020年6月現在:計画策定支援等も含む)があります。その背景として、他社が手掛けていない中でいち早く取り組んだこと、測量をはじめとする他の業務で長年にわたり築き上げてきた実績と経験があったことなどがあり、この業務においても、自治体ごとの地域性に合わせた丁寧な仕事ぶりを評価いただいています。
新潟県内でいち早く自治体とともにハザードマップを作成
住民参加型の「みんなに優しい」ハザードマップづくり
技術の進歩が著しい昨今、シミュレーション解析の精度も上がってきていますが、得られる情報を盛り込みすぎてしまうと、かえって伝わりづらくなるケースもあります。通常、自治体から各家庭に届けられるハザードマップは、広域であるがゆえに細かな地域の情報まで盛り込むことは難しいのが現状で、何を一番伝えなくてはいけないのかを整理した上で、デザインに落とし込むことが重要です。
それとは逆の発想で、情報を削るのではなく、範囲を狭めるというのも一つの方法です。新潟市様から受託した津波ハザードマップでは、「地域単位」で作成しました。手法として、自ら関わることで災害に対する知識や心構えを養うことができる「住民参加型」によるワークショップを実施。予測される津波の高さ、避難所の位置、ビルの階数など、基本的な情報を落とし込んだ地図を用意し、そこへ「避難所以外の高い建物の位置を表示したい」「川が溢れた時に、どの方向から津波が来るかを矢印で表したい」といった住民の生の声を取り入れることで、その地域に特化したハザードマップを作成しました。この地図は各地域のご家庭に配布された他、小学校での防災教育にも活用されています。
最先端の技術を用い、使う方を思いやる「みんなに優しい」ハザードマップづくりが、弊社の目指すところです。
信頼される防災コンサルタントを目指して
近年激甚化する災害により、ハード・ソフトの両面からの防災対策が益々重要な時代になりました。弊社では、自治体が計画する「地域防災計画」「業務継続計画(BCP)」「国土強靭化地域計画」など、各フェーズにおける計画策定のお手伝いをしています。また、計画策定や災害対策の基礎資料となる「防災調査」では、被害想定調査、避難時危険箇所調査、大規模盛土造成地調査など、様々な調査を行っています。
防災情報を活用したシステムづくりも行っており、「地理情報システム(GIS)を使ったサービス」では、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災情報を付与した地図をホームページ等で公開し、パソコンやスマホで閲覧できるようにしています。紙ベースの地図では載せきれない多様な情報を盛り込める分、レイヤー分けするなどして、視覚的にわかりやすいものを心掛けて作っています。
「防災情報配信システム」では、気象庁の発表・解除のタイミングで、登録された方に居住地域の気象情報・地震情報を自動配信する他、自治体の防災担当者からの情報(災害情報、避難情報、避難所開設情報等)も随時配信しています。「今何が起こっているのか」「どのくらい危険が迫っているのか」をリアルタイムで知ることができるので、命を守る行動をとるための情報提供ツールの一つとしてご利用いただけます。
このように、弊社では様々なかたちで防災行政全般にわたった支援を行っています。今後も新しい技術を積極的に導入し、時代に合ったサービスの提供を心掛けていく所存です。